シルクスクリーン版画について

ルクスクリーン版画は、1960年ころからアメリカで発達してきた技法で、アンディ・ウォーホルが芸術表現として用いたことによりポップ・アートの代名詞となるほどに広く認知されました。金属や木でつくられた枠の中に絹を張って版を作り、絹の目をインクが落ちる部分と落ちない部分に分け、版の上からスキージと呼ばれる滑らかなゴム状の道具でインクを刷面に落とすことで印刷する方法です。版(スクリーン)に絹(シルク)を使用するところからシルクスクリーン印刷と呼ばれています。現在では版として絹のかわりにナイロンやテトロンなどを使用することが多くなってきています。
ういったシルクスクリーンの技法は、それまでは主に工業用印刷としてプラスティックや金属などの製品の表面に用いられていました。インクを直接のせることができるため、印刷媒体限定することなく、幅広く使用することができたからです。現在でも携帯電話の表面などにシルクスクリーン印刷が用いられています。
メリカで商業アートを極めたアンディ・ウォーホルが表現の方法としてシルクスクリーンの技法を用いた作品を次々と発表し、いわゆる「ポップ・アート」が隆盛を極めると、シルクスクリーンも版画として、芸術表現としての地位を一般に確立するようになりました。ウォーホルは広い面に均一に色を塗ることができるシルクスクリーンの技法を好んで用いましたが、その後「シルクスクリーン版画」はめざましい発展を遂げ、現在では水彩画、日本画、油彩画などあらゆる表現での作品の再現が可能になりました。現在では笹倉鉄平、J.トレンツ・リャドなどの作家が好んでシルクスクリーン版画の作品を多く発表しています。シルクスクリーン版画は、1回の刷りの作業で1色のみの刷りとなるため、望む色の数だけ版を製作し、何度も色を重ねていくことにより一つの作品を完成させるという方法なので、作家の飽くことのない表現への要望に応えることができうるからです。

 

シルクスクリーン版画の特徴

ルクスクリーン版画は、オフセット等の色分解による印刷とは違い、のせたい色のインクを調合し刷り面(紙など)に直接のせるため、発色がより鮮やかになります。また色の数だけインクを重ねていくことになるので、何色も重ねることによりインクの盛り上がりができ、質感がより強調されます。